ぼちぼち父さんのブログ

ほどよくやって、ほどよい父さん

濃いめのソースの香りと淡い期待

 

その作戦を成功させる上で、課題を整理しておきたい。

 

まず1つは自分自身に対する心構えと準備。

もう1つは作戦を実行するにあたり、協力者を確保することである。

 

自分自身へのミッション。

美味しさを最大限に感じるための、

1番の隠し味は、

自分自身が空腹であること。

満腹になるという欲望を満たすためにも必須条件だ。

 

 

3時間目、体育の授業。

今日の体育の授業は跳び箱。

ここでいかに自分自身を奮い立たせ、人よりも多く動くことで

空腹感という五感以外の

自分の本能的感覚を呼び起こせるかが重要だ。

 

腹を空かせる運動として、跳び箱だけでは物足りない。

運動量を上げるため、授業開始前の跳び箱搬入、準備から率先して動いてみる。

なぜこんなに重いのか?

何段まで運べばいい?

そんな疑問を抱えながら、授業前から汗をかいている自分がいる。

1人で運ぶには相当な力仕事。

いいぞ、その調子だ。

 

授業開始。

跳躍に向けての行列待ち。

前のアイツを揶揄って、戯れて、無駄な動きで運動量を上げておこう。

当然、先生からのカミナリが落ちることは織り込み済み。

腹を空かせるためには動くことを優先、怒られることは致し方ない。

 

 

体育の授業で身体を全力で動かし、4時間目の算数の終わりを待つ。

午前の終了チャイムは、次の準備への合図でもある。

作戦を成功させる上で、協力者確保が次なる課題。

 

今日の主菜配給担当は、気の優しいあの女子だ。

普段は恥ずかしさもあって、話す機会はないが、

作戦成功のためには、多少の勇気も必要。

 

給食着を着て、給食配給準備に当たろうとしている彼女を

そっと呼びとめ、さり気なくアピールをする。

 

「今日のおかず、オレ好きなんだよね」

「体育の授業で動き過ぎて、お腹ペコペコだよ」

これで彼女の頭の中へのインプットは完了だ。

 

 

後は彼女のアウトプットである、盛り付け行動への注視。

彼女に対しての期待と盛り付け量への期待。

2つの期待を心の中に秘めて.......

 

 

 

正午過ぎ。

ついにその時はやってきた。

 

黒板の前、教卓や補助机に、主菜、副菜などを入れた寸胴やバットが並ぶ。

自分の空腹感は限界ギリギリ。

いわゆる、お腹と背中がくっつく寸前ってヤツだ。

牛乳、コッペパン、海藻サラダと順番にとって行き、プレートへ並べていく。

 

さぁ、いよいよだ。

香ばしい濃いめのソースの香りが鼻を襲う。

縁日の屋台までとはいかないが、この香りは何にも勝る、食欲をそそる香り。

麺と肉、そしてキャベツ。

この3種の食材が奏でるハーモニー。

コイツの存在が、

今日を生きている目的だと言っても過言ではない。

 

あとは彼女がしっかりと大盛りによそってくれれば、作戦は終了となるのだが、

それは突然やってきた。

 

晴天の霹靂......

 

配膳の流れが止まり、体育の時にじゃれ合ったアイツが、

彼女に対して一言、物申している。

 

なんだ?

何があった?

困惑する自分を他所に、アイツの言葉が教室に響き渡る........

 

「前のあいつの焼きそば、多くない?」

「みんな同じように盛ってよ」

 

おい、おい、待ってくれ。

彼女は彼女なり、精一杯やっている。

たまたま偶然にも、誤差が出ただけだ.......

 

そんなことを言ったら、俺のここまでの作戦はどうなる......

 

 

萎縮してしまった彼女の前に、焼きそばの配給を待つ自分。

沈黙の時間の後、

彼女は控えめに、並の量でそっと焼きそばを器へ。

クレームが出た手前、致し方ない対応。

麺、肉少なめ、キャベツ多々。

彼女の心の動揺を表すかのごとく、具材のバランスが悪い焼きそば。

 

 

絶望感を抱え、

並の量の焼きそばと机に向かう自分。

おかわり優先権争奪じゃけん大会に参加する気力も残っていない.........

 

昨日の献立表チェックの時より

綿密に立てた、焼きそば大盛作戦は

脆くも崩れ去ったのだ...........

 

 

 

好きだった給食のメニュー、

それは、焼きそば。

 

オヤジになった今も、

休日の昼食は焼きそばとコッペパン.......

 

 

 

 

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